墓じまいとは基本的には墓石を撤去し、墓地を更地にして使用権を返還することですが、実際には古いお墓の場合は墓地ではなく山奥にお墓がある場合もあります。古いお墓の場合は土葬の場合もあり、墓じまいの際にはご遺骨が土に還っているかどうかで方法が変わってきます。
一般的にはお墓に納められているご遺骨を取り出して新しいお骨の納骨先に納め、お墓を撤去するという流れになります。この際、勝手にお骨を取り出し別の場所へ移したり廃棄することはできず行政手続きが必要になります。
01.新しいお墓や納骨堂などを準備する
旧墓地の管理者に事情を説明して改葬の確認をしてから新しい墓地を取得します。旧墓地の管理者に「埋葬証明書」を発行してもらいます。
特に注意が必要なのはお寺の墓地からの移転。檀家から離れることとなるのでトラブルにならないようお互いによく話をしておく必要があります。
02.新しい墓地の管理者から「受入れ証明書」を発行してもらう
03.改装許可申請する
改葬許可申請書に記入し必要書類とともに提出し、申請。「改葬許可証」を交付してもらいます。
須賀石材では基本的に改葬許可申請については、お客様ご自身にしか知り得ないことも含まれているため、極力ご自身で行って頂いています。しかし、手続きなどに不安がある場合はご希望であれば書類の書き方などは丁寧にお教えしています。
最近では「改葬許可申請書」を、その記入例とともに自治体のホームページからダウンロードできる場合が多いです。様式は各市町村により異なりますが内容はほぼ同じです。パソコンが使える方はご利用されると便利です。
(参考)
福岡市
http://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/seikatsueisei/life/kurashinoeisei/kaisou.html
北九州市
http://www.city.kitakyushu.lg.jp/ho-huku/file_0264.html
遠賀町
https://www.town.onga.lg.jp/soshiki/9/1330.html
04.既存のお墓から遺骨を取り出す
「改葬許可証」を提示し、閉眼供養を行って遺骨を取り出した後、墓石を解体撤去、または移転します。
05.新しいお墓に納骨する
「改葬許可証」と「受入証明書」を提示し、墓石の開眼供養の後、納骨法要を行います。
墓石の撤去・出骨作業などにかかる費用
墓地の場合、墓じまいする場合は、全てを撤去し、更地にしてお返しする必要があります。その際に費用がかかるのですがこの作業は石材店での作業になります。墓地によっては指定の石材店が決まっている場合がありますので事前に確認し、見積をとっておきましょう。
納骨等にかかる費用
お墓からお骨を取り出し新たに納骨するまでの一連の流れのなかで「閉眼供養」「開眼供養」などを行う場合があります。これにともないお布施などの費用がかかります。寺院の場合はさらに離檀料(檀家を離れるための料金)を求められる場合があります。お寺との付き合いの年数や関係によっても費用は変わりますが事前に話し合いをしておきましょう。
改葬先にかかる費用
改葬先のタイプによって費用がかわりますが、新たにお墓を建てる場合はそれなりに費用がかかってきます。最近多くなってきている樹木葬や永代供養墓などの場合は比較的費用が抑えられます。
墓地・霊園
お墓が遠いことで墓じまいを行った場合は、近くの墓地や霊園に新たに納骨する場合が多いのではないでしょうか。この場合は今までと同様にお参りするこのが可能ですが、費用がかかることとお墓のメンテナンスやその後の管理については考えておかなくてはなりません。
樹木葬
最近増えてきている樹木葬ですが、遺骨をシンボルツリー周辺の土に埋葬する方法です。比較的費用が抑えれますが一度納骨すると取り出すのは不可能だということを知っておく必要があります。
永代供養墓
永代供養墓は寺院などが遺骨を預かり永代にわたって供養してもらえるお墓です。事前に供養料を一度支払えば、年間管理料はかかりません。
納骨堂
納骨堂はお骨壺やご遺骨を決められた場所にに納骨できる施設のことです。屋内にある納骨堂では天候が悪くてもお参りしやすいのがメリットですが、年間管理料が割高になる場合もあります。
散骨
散骨は粉状にしたお骨を海や山などに撒く埋葬方法です。ただ、散骨の場合には自然に還すので「受入許可証」は発行されません。そのため改葬許可証が発行されない場合があります。そのため墓じまいの際にお骨を取り出すことができなくなります。その場合はそれぞれの自治体や墓地の管理者に事情を説明し、どのような方法で散骨が可能になるか相談してみましょう。
自宅供養
小型のお骨壺中にご遺骨を納め、ご遺骨の全部または一部を自宅に保管しておくことでです。ご遺骨からアクセサリーを作って身に着けるという方もいます。
01
年齢を重ねるごとに、険しい山道を登ってのお墓参りが難しくなり、跡取りの方もおらず、今後どうすればいいのか悩んでおられました。
そのため、現在のお墓の解体、移転工事をご決断されました。ご先祖のお骨は嘉麻郷霊園に改葬し、「永代供養」致しました。
02
F様の場合、宮崎県に建立されていた状態の石材の全ての部分の寸法(間口×奥行×高さ)を、お客様ご自身が計測し弊社へお知らせくださり、その資料をもとに遠賀霊園の規格墓地の設計(地下に定められた寸法の納骨室を設置できる。全体の高さ制限内に納まる。)に合うと弊社が判断してお客様にお知らせし、移転先の霊園の規格墓地をご契約頂きました。
今回は墓石全体の形状が比較的シンプルであったため、お客様において誤りなく計測できましたが、もっと大型であったり複雑なデザインであったりするとそれは難しい場合があります。
そのままでは建立できない場合は、石材を加工したり、部分的に新しい石材を手配するなど可能な限り対応致します。
現在のお住まい(福岡県)の近隣の霊園へ移転することになりました。
03
従来の霊園は遠方であったため、ご自宅近くの菩提寺に移転されることになりました。移転先の敷地の都合上、規模を縮小して石塔のみを移転。納骨室は新規作製致しました。
04
現在のお住まいから遠く離れた山奥にF様の古いご先祖様のお墓がありました。約20基全て江戸時代のお墓です。各故人は土葬されていると考えられます。今後どのように管理していくか、ご親族間でここ数年充分に協議を重ねてこられました。
協議の末、お客様にて「お墓じまい」の法要を行われたのち、撤去処分して更地に戻すことになりました。
※土葬の場合、ご遺骨が土に還っているかいるかどうかで改葬の内容が変わってきます。ご遺骨が土に還っている場合は改葬に該当しないため、改葬許可を取る必要がありませんが、ご遺骨が土に還っていない場合は改葬許可が必要となります。
F様の場合は、江戸時代のお墓ということで土に還っていると考え改葬はしないということになり、このままこの地で静かに眠っていただくことになりました。
土葬の墓じまいにつきましては状況などによりそれぞれケースが異なりますのでまずはお問合せください。状況から最適な方法をご提案させていただきます。